6月1日、NPO松川運動記念会(渡邊純理事長)は、6月1日、福島市内で2024年度総会を開催しました。司会の目黒剛夫さんは、「総会は定款の定足数を満たしている」と開会を宣言。物故者への黙祷後、佐々木幹雄さんを議長に選出し議事に入りました。
事務局長から総括と今年度事業、決算報告・貸借対照表、予算の提案等が行われました。
会議は昨年度事業の松川事件無罪確定60周年記念全国集会(略称・全国集会)や松川賞作品募集など全事業の総括と今年度事業となる松川記念塔建立60周年記念集会や松川資料をユネスコ「世界の記憶」に登録めざす活動、その他について議論を深め、全員一致で採決しました(貸借対照表は下記に)。
2023年度 事業報告書 (2023年4月1日~2024年3月31日)
特定非営利活動法人福島県松川運動記念会
1 事業報告について
当法人の主な事業は次の通りです。
(1)研究・学習・講演
①松川事件無罪確定60周年記念事業について(2日間の日程)
9月末に、松川事件無罪確定60周年記念全国集会を開催しました。全国各地からのべ850人をこえる方々が参加。記念講演は「冤罪の歴史から再審法の改正へ」と題し、弁護士の鴨志田さん(京都市)が行いました。講師は主に再審法改正について「再審における証拠開示制度の整備、検察官の再審開始決定に対する不服申立の禁止、刑の執行停止に関する規定の整備など再審のためのルールをつくる必要性を強調しました。
2日目は、テーマ「冤罪と刑事司法」のテーマでシンポジウムを開催しました。シンポジストは再審で無罪を勝ちとった青木さん(大阪府)とドキュメンタリー監督の笠井さん(静岡県)の2人。青木さんは、「検察は、即時特別抗告をするべきでない」「裁判にすべての証拠を開示させるのは大事なことだ」などと自らの体験をもとに発言。
袴田事件の再審決定について笠井千晶さんは、「血痕が着いた5点の衣類が証拠。衣類は小さくて袴田さんは着られない」「袴田さんは、拷問で自白に追い込まれた。600点におよぶ証拠。証拠開示がなかったら再審にならなかったと思う」と発言。
2人は、冤罪を生まないこと、冤罪犠牲者を救済するには、証拠の全面開示と検察の不服申立禁止が重要と共に強調しました。この事業は再審法改正の重要性について参加者に大きな影響を与えたものになりました。
(2)松川賞
第9回松川賞作品募集は、福島県と福島市の教育委員会から後援を得ました。作品募集の取り組みとして、当会のホームページや「松川通信」で告知。また、県内13市の図書館、大学、文学サークル(会津3、いわき1)等に協力を要請しました。応募は、研究論文評論部門と創作・小説の2部門です。受賞作品は「主任弁護人・大塚一男の軌跡」作者は神奈川県在住。「真実への祈り」宮城県在住の2作品です。松川賞授賞式は、10月1日、福島大学内で行いました。
(3)資料収集・整理・一般公開
茨城県の方から1963年9月12日付前後の新聞各紙が当会に寄贈。記事・報道内容は松川事件が最高裁で無罪判決。松川裁判の最終判決に関わるものです。その他、被告にされた齋藤千さん直筆の最終陳述書(仙台高裁提出)などです。これから主に、福島大学と共同し、資料の整理、資料目録などの作成に力を入れたいと思います。
(4)人権擁護の活動
10月に、袴田事件の袴田巌さんの姉秀子さん等と交流・激励。冤罪で苦しんでいる人への激励と冤罪をなくしていくために刑訴法・再審の改正に向け様々な活動を行いました。
2 事業の実施に関する事項
○研究・学習・講演事業費 224,872円
○松川賞事業費 118,122円
○資料収集・整理・一般公開事業費 0円
○人権擁護事業費 59,745円
合計 402,739円
以上
当会の定款55条 この法人の公告は、この法人の掲示場に掲示するとともに、(官報)に掲載して行う。ただし、法第28条の2第1項に規定する貸借対照表の公告については、この法人のホームページに掲載して行う。
本年度総会に、お忙しいところメッセージをお寄せ下さいまして誠にありがとうございました。メッセージをお寄せ下さいました皆様方の期待に応え頑張って参ります。メッセージは全文を掲載致しました。よろしくお願い致します。
2024年6月1日
NPO松川運動記念会
理事長 渡邊 純